「ロック!」
「皆…ついに手にいれたんだ!」
ロックが持っていたのは魔石フェニックス。
「これでレイチェルが…」
「へぇ…見せて。」
「ん?あぁ。」
ティナはロックから魔石を受け取り、まじまじと眺めた。
「これが皇帝の宝…」
「僕にも見せてクポ。」
「はい。」
「綺麗クポ〜。これがあれば死んだ人を生き返らせれるクポ?」
「あぁ、身体が残っていれば大丈夫だと思う。」
「クポー‥。」
モグはじっと魔石を見つめていた。
「さ、モグ。コーリンゲンへ。」
ロックが魔石に手を伸ばした瞬間
「クポ〜〜!!」
モグは猛然と走り出した。
「あ、待って!」
「おいモグ!」
追い掛ける八人。
「しまった!あいつ、首からモルルのお守り下げてるよ!」
「あ、モンスターでござる!」
「カイエン、頼んだ!」
「拙者も逃げるでござるよ!」
「も、もう走れんゾイ…」
「マッシュ!ストラゴスを!」
「おう!…って兄貴は!?」
「俺はリルムがいるから!」
王が姫を守るのは当然!と走りながら器用に胸を張るエドガー。
本当はティナかセリスの方が嬉しいんだが…と思ったのは内緒だ。
「姫!?くそっプリンセスドレスか!」
リルムはエドガーの肩の上でニッとVサインをした。
「楽ちんだよ〜。」
「う〜‥ちゃっかり簡単な方を!」
「失礼だゾイ。重さは大して変わらんゾイ。」
「壊れやすさの問題だよ!乾燥した餅は突きたての餅より割れ…儚げな顔をするなぁっ!!」
「硝子の60代…」
「砕くぞコラ!」
「やめるんじゃ!大切な物は壊れて初めて大切さが解るんだゾイ!?」
「もう嫌だこんなジジイ〜!!」
「うるさいぞマッシュ。お前だって『師匠を背負って洞窟探検』の修行くらい…」
「してネェ!!」
怒鳴り合いをしながら走る二人。
「見て!」
「出口よ!」
ティナとセリスが叫ぶ。
「ロックはどうやってここまで来たの?」
「山越えだ。飛空艇が無いからかなり時間がかかった。」
「じゃあ止められるわね!?」
「たぶんな!」
モグは前方の出口に向かってひたすら走っていた。
光が見える。スパートをかけなければ…!
「本気モードクポ〜〜〜!!開・眼!!」
目を見開いて魔石をくわえ、四足に切り替える。
そして…
『飛んだー!?』
追い掛けていた全員が叫んだ。
「飛べたのかアイツ!」
「初めて知ったわよ!」
「空とは…男のロマンだゾイ。」
「熱く語るな!熱くなるな!!お前も飛ばすぞ!?」
「年寄りは大事にせい。」
皆してクレーンに掴まる。
「セッツァー!早く引き上げて!」
「お、おう。」
「発進!」
「うわっ!ちょっと待てエドガー!」
「訳は後で話す。」
混乱の中、息の上がっていないリルムとストラゴスが事情を説明する。
「なるほど…あれはモグだったんだな。」
「くそ…追い付けない!遅いぞセッツァー!このままじゃ見失う!」
「ファルコンに向かって遅い言うなぁ!!」
「一段落ついたら改造してやる!」
「やめろおぉぉ!!」
がっくりと膝をついて頭を抱えるセッツァー。
格好良く肖像画描いてあげるから…と彼の肩を叩くリルム。
そんな中、
「私が行く。」
とティナが立ち上がった。
「助かる。」
「じゃあ。」
短く言葉を交し、トランス状態で飛び出した。
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なかがき